コラム

Column

第15回 五省


4月1日から大阪弁護士会の副会長に就任しました。任期は1年間です。ご不便、ご面倒をおかけすることがあるかもしれませんが、ご理解のほどよろしくお願いします。
本稿では、就任直後の1週間(5日間)の様子をざっとご報告させていただきます。


初日の4月1日(月)午前9時、着任早々、弁護士会館2階ホールに103名の職員の皆さんを集めて挨拶を行い、高裁長官・地裁所長等に就任挨拶の後、会長以下7名の副会長と2名の随行員が4台のタクシーに分乗し、官公署やマスコミ等への挨拶回りに出発。昼前、一旦弁護士会館に戻って写真撮影をし、新旧役員引継会の後、再び挨拶回りに出発。夕方、弁護士会館に戻って各派執行部へのお披露目会を開催しました。2日目以降も挨拶回り(2・3日目は会長が東京のため副会長のみで対応)が続き、その間に修習生開講式に出席し、正副会長会・幹事長会・常議員会を開催し、一水会(選出会派)の幹事会や弁政連祝賀会に参加しました。就任挨拶は一番多い日は13ヶ所を回り、いただいた名刺は優に3㎝を超えました。
この間にも慣れない設定のパソコンでメールを処理し、弁護士法23条の2に基づく照会を決裁するほか各種の決裁・閲覧・処理にハンコを押し、月報の原稿を校正し、正副会長会の議案を起案し、新聞各紙に目を通し、事務所のパソコンメールを処理します。慣れないこと続きのために、挨拶回りの僅かの移動時間中に眠り込んでしまいました。連休前には一段落するものと思いますが、挨拶回りをしていて感じたのは、団体によって組織特有の「空気感」というか「雰囲気」があることで、「職業柄」というものを感じさせられた1週間でした。


役員の仕事で特徴的なのは「決裁」(ハンコ)です。弁護士の本業は、「判断」以外に「作業」的な部分が多く、決裁ということを意識することはあまりありません。決裁とは「承認・不承認の判断(決断)」であり、当然「責任」を伴います。責任の所在はハンコによって明確になりますから、細かなことでも後で問題になった場合のことを考えると、いい加減には押せません。
かつて大阪高裁長官として赴任された修習時代の刑裁教官が、ゆったりした部屋や勤務時間、送迎といった恵まれた執務環境を与えられているのは、一に懸かって判断を誤らないためだ、自分の仕事は「正しい判断をすること」と「責任をとること」だと仰っていたことを思い出しました。レベルは全く違いますが、私も、判断を誤らないよう、責任をとれるよう、常に下記「五省」(旧海軍兵学校の訓戒)を心がけ、職務にあたりたいと念じています。

一、至誠に悖る 勿かりしか
一、言行に恥ずる 勿かりしか
一、気力に缺くる 勿かりしか
一、努力に憾み 勿かりしか
一、不精に亘る 勿かりしか