色川法律事務所Irokawa Law Office

法律コラム

第95回 SUITSとなりすまし弁護士

2017/02/16

海外ドラマ:SUITS(スーツ)の魅力
 最近、英語の勉強を兼ねて、SUITS(スーツ)という海外ドラマを見ています。NYの大手法律事務所を舞台にしたドラマで、現在シーズン5まで放送されているアメリカの人気番組です。敏腕弁護士のハーヴィー・スペクターと、その部下で相棒の新人弁護士マイク・ロスの2人を中心にドラマが展開していくのですが、このドラマを面白くしている要素が、新人弁護士マイクの経歴詐称です。2人の勤務する法律事務所は、ハーバード大学ロースクールの卒業者しか採用しないのですが、マイクは諸事情から大学を中退しており、司法試験にも合格していない偽の弁護士です。マイクの経歴詐称がいつバレるのかというスリルが、話に良いアクセントをつけています。

偽弁護士は「実在」する
 多くの視聴者は、弁護士になりすますなんて想像の中だけの話と思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。有名な裁判例として、自分と同姓同名の弁護士Aが存在することを利用して、「弁護士A」という名義で文書を作成したことにつき、最高裁判所で私文書偽造罪が成立すると判断された事件があります[1]。また、2013年には、弁護士の名をかたる「なりすまし詐欺」について、東京弁護士会に多数の問合せがあったとの報告があります[2]

弁護士への「なりすまし」を見破る方法
 以上のように、日本でも、弁護士になりすます詐欺自体は、10年以上前から存在しているようです。しかし、こうした「なりすまし」を見破る方法はあります。日本弁護士連合会は、公式ウェブサイトで弁護士情報の検索機能を提供しており[3]、このサイトで弁護士の名前を入れて検索すると、その弁護士の電話番号を知ることができます。この番号に電話し、弁護士本人かどうか確認することで、「なりすまし」を見破ることができます。
 なお、インターネット上では、弁護士のなりすましを見破るためには「登録番号」を聞けばよい、という情報も散見されます。しかし、上記の検索機能を使えば、誰でもその弁護士の「登録番号」を知ることができるため、「なりすまし」を見破る方法としては不十分でしょう。
 ちなみに、SUITSの「偽」弁護士マイクは、弁護士の資格こそないものの、瞬間記憶能力を持つ天才であり、一度読んだ法律書や裁判記録をすべて暗記しています。私としては羨ましい限りなのですが、資格におごらず研鑽を続けよとの製作者のメッセージと受け取り、日々様々な文献を参照しながら業務に取り組んでおります[4]


[1] 最決平成5年10月5日刑集47巻8号7頁。刑法の教科書には必ず掲載されている有名判例です。

[2] http://www.toben.or.jp/message/seimei/20130415.html。「なりすまし」を見破る方法として、こちらの記事でも電話での確認が推奨されています。

[3] https://www.nichibenren.jp/member_general/lawyerandcorpsearchselect/corpInfoSearchInput/changeBarSearch/。

[4] 製作総指揮のダグ・リーマンは、弁護士一家に生まれたようです。ハーヴィー役のガブリエル・マクト、マイク役のパトリック・J・アダムスも、多くの弁護士の友人に話を聞き、相当な役作りをして撮影に臨んでいるようです。リアルかつきちんとしたエンターテイメントに、さすが訴訟と映画の国アメリカという感じがします(以上、http://www.suits-tv.jp/special5/index.html)。ちなみに、日本でもAmazon Prime、Netflix等で視聴できます。

執筆者:増田 拓也

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