色川法律事務所Irokawa Law Office

法律コラム

第145回 Finmacについて Part1 皆さん Finmacをご存知ですか

2020/12/01

 金融商品取引法上の指定紛争解決機関として日本証券業協会などの自主規制団体の連携・協力の下に運営されている「特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター」略称Finmacについての紹介コラムです。
 株や投資信託、FXなど金融商品の取引に関するトラブルについて、相談や苦情を受け付け、公正中立な立場で解決を図る金融ADRであるFinmacの処理手続きやあっせん成立率、費用などについての概要です。今後シリーズ化も検討しています。

 

 Finmacは、「Financial Instruments Mediation Assistance Center」の頭文字の略称です。正式名称は、「特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター」といいます。
 日本証券業協会など5つの自主規制団体(事業者総数2000社以上)の連携・協力の下に運営されている機関で、ADR促進法上の法務省の認証、金融商品取引法上の指定紛争解決機関として金融庁の指定を受けています。
 業務内容は、株や投資信託、FXなど金融商品の取引に関するトラブルについて、相談や苦情を受け付け、公正中立な立場で解決を図る金融ADRです。私は3年前からこのFinmacのあっせん委員をしています。なお、本年5月1日施行の金融商品取引法の改正により、従来「仮想通貨」と呼ばれていたビットコインなどの資産を「暗号資産」とその呼称を変更し、暗号資産のデリバティブ取引も規制の対象となりました。
 実際の処理手続きですが、顧客から金融商品取引に関する苦情の申し出(2019年度では、1048件)があれば、Finmacの相談員が対応し、その苦情の内容を事業者へ取り次ぎ、調査の要請など、必要な対応を依頼します。事業者の調査結果の報告を受けると、相談員は顧客にその報告内容を伝え、顧客がその是正措置に納得すれば解決が図られることになります。しかし、顧客が納得できない場合、相談員は、あっせん制度について説明し、顧客の意向を確認します。顧客があっせん制度を利用したいということになれば、申立書を提出(2019年度では、402件)してもらい、あっせんが開始することになります。
 あっせんは、Finmacのあっせん委員(全て弁護士)の中から当該手続きを行う紛争解決委員が選任され、原則として申立ての受理から4か月以内に終了させることになっており、大部分は1回のあっせん期日で終了します。2019年度の統計では、あっせん成立率は9割以上(あっせん終結事件643件のうち、和解成立は584件)ですし、あっせん申立ての費用は、損害賠償を請求する金額によりますが、2000円から50000円です。
 このように訴訟を提起するよりも時間的にも経済的にも負担がかかりません。長年金融商品の取引を行っている方でもFinmacの存在を知らない方が多いようです。損失を被った場合には利用を考えてみてはいかがでしょう。但し、金融商品取引は、あくまで自己責任であることをくれぐれもお忘れなく。

執筆者:中村 隆次

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